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足の症状

足のしびれ

しびれは神経や血管の圧迫が原因で起こります。長時間正座をしていると足がしびれるのは膝を通っている神経や血管が圧迫されるからで、正座をやめて血流が改善されるとしびれはおさまります。これは一過性のしびれですが、骨や筋肉などの器質に圧迫の原因があるとしびれは慢性的になり治りにくいものになります。慢性的で圧迫が原因のしびれが温めると軽減するのは血流が良くなるからです。
腰から下の神経は腰椎から出ているので、ヘルニアなどで腰椎に異常が起き神経を圧迫すると足にしびれが出ます。また臀部の筋肉に神経や血管が圧迫されてもしびれが出ます。坐骨神経は腰から足に伸びている一番太い神経でしびれの原因になりやすいです。
圧迫以外では糖尿病、抗がん剤などの薬剤の副作用、脳の疾患で起こることもあります。

・腰が原因のしびれ
脳から出た神経は背骨を通り腰椎で外出て足の末端までいきます。背骨の中を通っている神経の束を脊髄といいますが、ここに異常があるとその先の神経に影響が出てしびれます。代表的なのが椎間板ヘルニアによるしびれで、背骨と背骨の間のクッションがつぶれて脊髄を圧迫するとしびれが出ます。腰椎すべり症では背骨そのものがずれてしまい神経を圧迫します。
鍼灸治療では腰部の血流改善と自然治癒力の強化を目的に治療を行います。また背骨に異常が起こるのは姿勢が原因のことが多いため、姿勢改善のための全身のバランス調整を行うこともあります。

・臀部が原因のしびれ
臀部には殿筋のような大きく力強い筋肉があったり、神経が筋肉の間を通ったりするので圧迫されやすくしびれの原因になりやすい場所になります。特に車を長時間運転する方はアクセルやブレーキの操作が多いので臀部の筋が凝りやすく、それが原因で神経を圧迫してしびれなどの症状が出てきます。
鍼灸治療では臀部の筋肉を緩めたり血流の改善を目的に治療を行います。また、骨盤のゆがみを整えるような治療も行います。

糖尿が原因のしびれは、血液中の糖が毛細血管を痛めるため血液が神経まで十分に届かずしびれが出てしまいます。
このタイプのしびれには糖尿病に対する治療をメインに行います。

どのタイプのしびれでも、しびれている部分にお灸で刺激を与えます。この際のお灸は熱さがほとんどないお灸なので糖尿病の方でも安心です。また脳が原因のしびれは鍼灸は適応外になりますので、その疑いがある場合は病院へ行っていただきます。

東洋医学

しびれの原因がヘルニアなどの腰椎にある場合は五臓(肝心脾肺腎)でいうと腎、臀部の筋肉の場合は肝が関係します。ですので肝と腎を中心に経絡治療を行います。糖尿病の場合は脾が関係します。脳が原因のしびれの場合は腎が関係します。

しびれは虚実で言うと虚の状態なので、補う治療を行います。お灸では5分灸、鍼は刺さずに接触鍼やてい鍼で補いつつ気を流すような手技を行います。

実際の症例

足の指先のしびれ

南区のBさん(70代)

【職業】専業主婦

【状況】足の指先のしびれや感覚異常

2年ほど前に脊柱管狭窄症をしてから足の指先のしびれがあり、砂利を踏でいるような感覚もあり今年の冬は特にひどくなったとのことで、来院されました。

話を聞くと10分も歩くと腰が痛くなりそのあとはしびれが悪化するとのことでした。腰を見てみるとガチガチに張っていて血色も悪く、腰の悪い人の腰をしていました。

しびれの原因は腰として、腰の治療をメインにしびれている部分に熱くないお灸を行いました。これを週1回のペースで2か月ほど続けると、しびれの範囲は減り砂利を踏んでいるような感覚もなくなったようです。腰も楽になり多少歩いても痛くなることもなくなったそうです。ただ指先のしびれは残っていて、完全に良くなるには時間がかかることを説明しましたが、少しでも良くなるならと引き続き治療を続けています。

脈診について

当院では脈診を大事にしています。

脈診とは手首の脈をみて体の状態を把握する、東洋医学独特の診断方法です。西洋医学では脈は脈拍が早いか遅いか、回数を計測するぐらいですが、東洋医学では脈診によってさまざまなことが分かります。

脈診では次の事が分かります。

・五臓六腑の状態

・経絡の状態

・気血の状態

脈からこれらの事を読み取り東洋医学的に体の状態を診断します。

また脈は変化が早いので、正しいツボが使えているかどうか、治療が上手くいっているのかどうかも脈診で判断することができます。正しいツボなら脈は良くなり間違ったツボだと脈は悪くなります。

良い脈というのは体が無理をしていなくて状態が良いことを表し、自然治癒力が高まっています。悪い脈というのは体の状態が悪くどこかに異常があるという事です。

自律神経を整えたり、痛みやしびれなどの症状を取ることが鍼灸治療の目的ですが、経絡治療ではよい脈を作ることも大事な目標になります。

治療前に体の状態を把握するために脈をみて、治療中はツボや刺激量を確認するために脈をみて、治療の最後に全体の治療が上手くいったか脈をみます。

五臓六腑や経絡を整える経絡治療では、脈診はなくてはならないものです。

脈診で始まり脈診で終わる、当院の大きな特徴です。

東洋医学について

東洋医学では独特の考え方や言葉があり、現代の人には分かりにくいものです。そこで東洋医学に出てくる代表的な言葉を分かりやすく解説します。

・五臓六腑(ごぞうろっぷ)

内臓の事です。五臓は【肝・心・脾・肺・腎】の5つ、六腑は【胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦】で6つあります。東洋医学では人の体は五臓六腑が中心となって生命活動を営んでいると考えるため、とても重視します。また、西洋医学では精神活動は脳が行いますが、東洋医学では精神や魂は五臓六腑に宿ると考えるので、心の病も五臓六腑を整える事で治療します。

・脾について

五臓の中の脾は西洋医学の脾臓ではなく消化器系の機能の事を言います。脾が弱ってくると下痢や便秘になりやすいです。また、体質的に脾が弱いと痩せ型だったり太りにくかったりします。

・気血水(きけつすい)

体を循環し体の必要な栄養などを運んだり、体を温めたりする物の事で、血は血液、水は汗や唾液などの液体のことです。

気は形なく見えないけれど影響を与える物です。東洋医学は気の医学と言われるぐらい気を大事にします。ささないハリは気にアプローチするので、ささずに効果を出すことができます。

・経絡(けいらく)

五臓六腑と全身を繋ぐ道の事で、経絡を通って気血水が全身に運ばれます。経絡によって全身がつながっているため、離れたツボで治療することができます。

・経穴(けいけつ)

経絡治療ではツボの事を経穴と言い全身に800以上あります。体の異常は経穴に表れます。また経穴に刺激を与えることで体を治すので、経穴は診断点であり治療点でもあります。経穴は経絡上に表れる反応点の事を言いうので、耳つぼや足つぼは経穴には含まれません。

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