腰の症状

腰の症状で慢性的なものです。4つに分けて考えます。

1、筋・筋膜性

筋肉の疲労や使い過ぎで凝り固まってしまったり、運動不足で筋膜の癒着によって起こる慢性的な腰痛です。揉んでもらうと気持ちよく、お風呂などで温めると調子が良くなります。慢性化したものはすっきりしない重だるさが出ることもあります。

症状の出る場所が普段の姿勢と関係していて、かがんだり中腰が多いと腰から背中にかけて、座り仕事が多いと腰から骨盤にかけて痛みます。

動き出しが痛むのは筋肉を包む筋膜が癒着して動きを妨げるためで、いったん動き出すと痛みは起こりません。

筋・筋膜性は普段の姿勢や動きの癖・運動不足で起こる腰痛なので、鍼灸治療と同時にストレッチや体操をすると、驚くほど治りが早い場合が多いです。

2、関節性

仙腸関節の機能障害です。

座っている時間が長かったり、出産によって仙腸関節に負担がかかり起こります。

仙腸関節とは仙骨（背骨の下の骨）と腸骨（腰骨）を繋ぐ関節です。仙骨と腸骨を合わせて骨盤と言います。仙腸関節は上半身と下半身の骨を繋ぐ重要な関節なので、靭帯や筋肉で強く固定されていて数ミリ程度しか動きません。この関節が動きすぎたり逆に全く動かなくなることで腰痛や坐骨神経痛が起こります。

実際の症例では、仙腸関節をぐっと押すと強い痛みがあり、臀部の筋肉が凝っていることが多いです。また仙腸関節が原因で肩や首がこっている強い方も多いです。これが原因で足にしびれなどの症状が出ている場合は、長期の治療が必要です。

治療は仙腸関節や周辺の筋肉を緩めてから関節を正常な位置に戻します。

3、脊椎性

椎間板ヘルニア、腰椎分離症、脊柱管狭窄症、圧迫骨折など、背骨が原因の腰痛です。

激しい運動や加齢、骨粗しょう症が原因で起こります。

背骨の中には脊髄と呼ばれる神経の束が通っていて、その脊髄を守るのが背骨です。背骨に問題が起こり脊髄が刺激されると腰痛はもちろん、足のしびれや感覚障害など神経的な問題も起こります。

鍼灸治療を行えば重度でなければ時間がかかりますが、回復します。放っておくと変形したり治りにくくなってしまいます。

腰の筋肉で背骨をサポートしている場合があるので、筋肉を緩め過ぎると症状が悪化することがあります。なので腰にはあまり鍼はせず、手足や腹部のツボを使ったり自然回復を促すような治療を行います。また刺絡という特殊な治療法も行います。

骨粗しょう症があると治りにくいので、痛みを取ることを中心に治療を行います。

4、内臓性

循環器、消化器、泌尿器、女性は生殖器の疾患により腰痛が起こります。

1～3で治療して良くならない方や内臓疾患がある方は内臓性腰痛を疑います。

この場合、直接腰に治療を行っても効果が薄いので、まずは問題の臓器の治療を行います。

東洋医学では内臓を中心に考えますので、内臓の治療とは相性がとても良いです。内臓疾患をメインに治療していて腰痛が治ることも良くあります。